望め、渇望しろ、ただひたすらに追い求めろ。
2005年1月29日 傑作だ。
この俺が、殺しもしてない女と一緒のテーブルについてのんびりと茶なんざ飲んでるなんて、まったく持って傑作じゃないか。だいたい、こんな行動俺のレパートリーになんざないし、いや、べつに俺が同性愛者であるわけじゃないし寧ろキレーな女といちゃつけるのは寧ろ歓迎する所だとはとりあえず思ってる。俺だって別にあの戯言遣いっつーか欠陥製品?とばっか遊んでるわけじゃないさ。けどな、見知らぬ女と茶ァする趣味もねぇ。そいういう手合いはとりあえず警戒しとくに限る。だがしかし、だ。だがしかし、なんなんだよ、この女。こっちの気が抜けるくらいニコニコしやがって。何が面白いんだよ。だいたい、俺が殺したところを見たんじゃねぇのかよ。欠陥製品並に神経いかれてんじゃねぇの?まぁ面白いけどな。面白い。面白すぎる。あんな人間がまだいたのかってくらい、面白い。面白いのはいいんだが。……なんだ、この状況。俺に笑えってか?笑ってやるよ、盛大にな。はっ!傑作だ!
「ねぇねぇ殺人鬼さん」
にこにこと女が話し掛ける。とりあえず俺が通り魔と呼ばれてることは知ってるらしい。まぁ良いけどな。隠してねーし。
「零崎人識」
「じゃぁ人識君」
「君付けかよ……」
結構脱力する。何が楽しいのか女はそんな俺の脱力加減をあっさり無視しやがった。やっぱり、ボケボケしてるようでなにげに神経は図太いようだ。
「話すすまないからすすめるよ」
「へーへー。んで、なんだよ、わざわざこんなとこまで引っ張ってきて」
こんなとこ。
俺には全く係わり合いのなさそうなふつーに生活感漂う明らかに一人ぐらいといった風情のアパート。さすがに欠陥製品のアパートほど骨董って雰囲気じゃねぇけど新しすぎるってとこでもない。それなりにセキュリティーもしっかりしてる。オートロックを備えつつもきっちりと監視カメラもあるという何とも侵入しがたいマンションだ。
「いや、殺してもらおうと想って」
は。なんつった、この女。正気か?正気でーすーかー?頭の方は大丈夫なのか?これはもう神経が図太いなんてレベルじゃねーぞ。第一、そんなに死にたいなら一人でとっとと死ねよ、莫迦じゃねぇの?わざわざ人の手を煩わせるんじゃねー。
「一人で死ねよ」
「苦しいのヤだもん」
「だったら最初から死にてーと思うなよ。人の手を借りるくらいなら一人で生きてろ」
「その生きるのに疲れたから死にたいんだけどなー」
「んなこと俺が知るか」
「今話題の通り魔なら殺してくれると思ったのに」
「お前、俺を快楽殺人者かなんかと勘違いしてんじゃねぇの?」
「違うの?違うならゴメンナサイ。っていうか、人識くんが通り魔ってのは間違いないよね」
「最近京都で殺して廻ってるのは俺だな。とりあえず。でも、快楽殺人じゃねーよ」
殺して快感を得るなんてマネしてたら変態だろ、そいつ。どいつもこいつも勘違いしやがって。通り魔=殺人鬼=快楽殺人者かよ。
「ふーん。とりあえず、殺してくれないんだ」
「あぁ。面白い人間は殺さないことにしてる」
こんな面白い図太い女、滅多にいねぇしな。こんなん殺したら人類の損失だろ。そこまで多大な影響を世界に与えられるとは思えねーけどな。いや、俺にとって損失か。こーいう面白い知り合いがいてこそ人生に張り合いってもんが出てくるだろ。あの欠陥製品も捨てがてーけど。どっちもどっちか。
「面白いの?そうか。それって誉められてるのかな?貶されてるのかな?」
「誉めてる誉めてる。こんな面白れー女、殺しちまったらもったいねーだろ?だから、どんなに頼もうが懇願しようが泣き付いてこよーがぜってー殺してやんねーよ」
「力説されてもなぁ……ま、この家は気が済むまで隠れ家にしてよ」
「こんな役にたたね―の、置いといたって仕方ね―んじゃね―の?」
「気が変わったら殺してくれるかもしれないじゃん」
「だから、それはねえって」
何聞いてたんだ、この女。人の話は素直にきちんと聞くのは俺だって知ってる常識だろーがよ。もうちょっとマトモに聞けよ。きちんと、俺の目を見て俺の話を聞いてそれで俺の話に頷け。しっかりと俺を認識しろ、確認しろ、俺はここにいる。
「決心は固いねぃ!」
「でなかったら家出なんかしねーって」
「家出少年だったのっ!?へー。親の顔が見て見たいなー」
「目が合った瞬間殺されると思え」
「大歓迎」
もう何言っても無駄だ、この女。何でこんな面白いんだ。あーもー、所有してぇ。いや、閉じ込めて見守っていくべきか?いや、むしろもっとこう楽しげな企画は無いものか。愉快すぎだろ。イイ感じに壊れてるだろ。常識ってもんをもうちょっと考えろよ、この女。俺みたいなのに気に入られると碌なことねーぞ。あ、こいつにはどちらかというと歓迎なのか?
「人識君?」
「お前、俺のものに何ねぇ?」
「死ねる?」
「死ねる死ねる。お前本気で面白いから俺と来いよ」
「いやーん。口説かれてるー」
「で、どーすんの?」
「行く行く。問題なし」
「って即答かよ!ほんっと面白いな、お前」
「あははー。ありがとー。大好きだよー人識君」
と言って女はケラケラと笑った。俺の提案に即答だぜ?しかも肯定の方で!ふつーもうちょっと悩むもんじゃねぇの?やっぱこの女に常識って紋を求める方が間違ってんのか。
まー、なんかいー拾いもんしたってことで。一件落着?ってことで。それでいいだろ。第一、俺の人生そんなもんだしな。面白けりゃそれでいーってことで。
この俺が、殺しもしてない女と一緒のテーブルについてのんびりと茶なんざ飲んでるなんて、まったく持って傑作じゃないか。だいたい、こんな行動俺のレパートリーになんざないし、いや、べつに俺が同性愛者であるわけじゃないし寧ろキレーな女といちゃつけるのは寧ろ歓迎する所だとはとりあえず思ってる。俺だって別にあの戯言遣いっつーか欠陥製品?とばっか遊んでるわけじゃないさ。けどな、見知らぬ女と茶ァする趣味もねぇ。そいういう手合いはとりあえず警戒しとくに限る。だがしかし、だ。だがしかし、なんなんだよ、この女。こっちの気が抜けるくらいニコニコしやがって。何が面白いんだよ。だいたい、俺が殺したところを見たんじゃねぇのかよ。欠陥製品並に神経いかれてんじゃねぇの?まぁ面白いけどな。面白い。面白すぎる。あんな人間がまだいたのかってくらい、面白い。面白いのはいいんだが。……なんだ、この状況。俺に笑えってか?笑ってやるよ、盛大にな。はっ!傑作だ!
「ねぇねぇ殺人鬼さん」
にこにこと女が話し掛ける。とりあえず俺が通り魔と呼ばれてることは知ってるらしい。まぁ良いけどな。隠してねーし。
「零崎人識」
「じゃぁ人識君」
「君付けかよ……」
結構脱力する。何が楽しいのか女はそんな俺の脱力加減をあっさり無視しやがった。やっぱり、ボケボケしてるようでなにげに神経は図太いようだ。
「話すすまないからすすめるよ」
「へーへー。んで、なんだよ、わざわざこんなとこまで引っ張ってきて」
こんなとこ。
俺には全く係わり合いのなさそうなふつーに生活感漂う明らかに一人ぐらいといった風情のアパート。さすがに欠陥製品のアパートほど骨董って雰囲気じゃねぇけど新しすぎるってとこでもない。それなりにセキュリティーもしっかりしてる。オートロックを備えつつもきっちりと監視カメラもあるという何とも侵入しがたいマンションだ。
「いや、殺してもらおうと想って」
は。なんつった、この女。正気か?正気でーすーかー?頭の方は大丈夫なのか?これはもう神経が図太いなんてレベルじゃねーぞ。第一、そんなに死にたいなら一人でとっとと死ねよ、莫迦じゃねぇの?わざわざ人の手を煩わせるんじゃねー。
「一人で死ねよ」
「苦しいのヤだもん」
「だったら最初から死にてーと思うなよ。人の手を借りるくらいなら一人で生きてろ」
「その生きるのに疲れたから死にたいんだけどなー」
「んなこと俺が知るか」
「今話題の通り魔なら殺してくれると思ったのに」
「お前、俺を快楽殺人者かなんかと勘違いしてんじゃねぇの?」
「違うの?違うならゴメンナサイ。っていうか、人識くんが通り魔ってのは間違いないよね」
「最近京都で殺して廻ってるのは俺だな。とりあえず。でも、快楽殺人じゃねーよ」
殺して快感を得るなんてマネしてたら変態だろ、そいつ。どいつもこいつも勘違いしやがって。通り魔=殺人鬼=快楽殺人者かよ。
「ふーん。とりあえず、殺してくれないんだ」
「あぁ。面白い人間は殺さないことにしてる」
こんな面白い図太い女、滅多にいねぇしな。こんなん殺したら人類の損失だろ。そこまで多大な影響を世界に与えられるとは思えねーけどな。いや、俺にとって損失か。こーいう面白い知り合いがいてこそ人生に張り合いってもんが出てくるだろ。あの欠陥製品も捨てがてーけど。どっちもどっちか。
「面白いの?そうか。それって誉められてるのかな?貶されてるのかな?」
「誉めてる誉めてる。こんな面白れー女、殺しちまったらもったいねーだろ?だから、どんなに頼もうが懇願しようが泣き付いてこよーがぜってー殺してやんねーよ」
「力説されてもなぁ……ま、この家は気が済むまで隠れ家にしてよ」
「こんな役にたたね―の、置いといたって仕方ね―んじゃね―の?」
「気が変わったら殺してくれるかもしれないじゃん」
「だから、それはねえって」
何聞いてたんだ、この女。人の話は素直にきちんと聞くのは俺だって知ってる常識だろーがよ。もうちょっとマトモに聞けよ。きちんと、俺の目を見て俺の話を聞いてそれで俺の話に頷け。しっかりと俺を認識しろ、確認しろ、俺はここにいる。
「決心は固いねぃ!」
「でなかったら家出なんかしねーって」
「家出少年だったのっ!?へー。親の顔が見て見たいなー」
「目が合った瞬間殺されると思え」
「大歓迎」
もう何言っても無駄だ、この女。何でこんな面白いんだ。あーもー、所有してぇ。いや、閉じ込めて見守っていくべきか?いや、むしろもっとこう楽しげな企画は無いものか。愉快すぎだろ。イイ感じに壊れてるだろ。常識ってもんをもうちょっと考えろよ、この女。俺みたいなのに気に入られると碌なことねーぞ。あ、こいつにはどちらかというと歓迎なのか?
「人識君?」
「お前、俺のものに何ねぇ?」
「死ねる?」
「死ねる死ねる。お前本気で面白いから俺と来いよ」
「いやーん。口説かれてるー」
「で、どーすんの?」
「行く行く。問題なし」
「って即答かよ!ほんっと面白いな、お前」
「あははー。ありがとー。大好きだよー人識君」
と言って女はケラケラと笑った。俺の提案に即答だぜ?しかも肯定の方で!ふつーもうちょっと悩むもんじゃねぇの?やっぱこの女に常識って紋を求める方が間違ってんのか。
まー、なんかいー拾いもんしたってことで。一件落着?ってことで。それでいいだろ。第一、俺の人生そんなもんだしな。面白けりゃそれでいーってことで。
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